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エアコンAir Conditioner

■真空引き


  

1.基本

エアコン取り付けの際、配管接続が終ったらエアパージ(Air Purge)配管内の空気を抜く作業をする必要があります。
真空引きとはエアパージの中のひとつの方法です。

なぜエアコン取り付けに真空引きが必要かというと・・・
エアコンは冷媒ガスのサイクル(圧縮、凝縮の繰り返し)で室内を冷したり、暖めたりしています。
その冷媒に空気(水分を含んでいます)やゴミが混ざるとエアコンに悪影響を及ぼして寿命を短くします。
その様な事を避けるために冷媒の通り道である冷媒管(配管)内部と室内機の内部を不純物が入っていない清潔な状態にする施工が必要になります。
ゴミの混入をさせずに配管をしてもは空気中には僅かな湿気があり 冷媒管中にも同様にわずかに水分が混入しています。
これを蒸発・乾燥させるために真空引きが必要なのです。 
大気中において水は100℃で沸騰蒸発しますよね。でも、真空環境下-0.1MPa(-750mmHg)において水は11.7℃で沸騰蒸発しちゃいます。
電動真空ポンプでの真空引き作業が完了すると、冷媒菅を100℃で暖めなくても冷媒管内の水分は常温で蒸発・乾燥させることができることになります。

2.目的

真空引きの目的は冷媒管内の真空環境下における乾燥、清掃です。
もし冷媒管の中に空気中の湿気以上の水分が入った場合は、冷房能力が激しく落ちます。
真空引き作業で明らかに水が混入している場合、真空ポンプのオイルゲージ窓に見えるオイルが白濁していきます。
小型の真空ポンプでは50ccくらいしか水を吸い出すことができません。
オイルゲージ窓から見えるオイルと水の混ざった液体の量はげ窓の上の方まで行ってしまっていると思います。
そんな時は、めったにないと思いますが、真空ポンプのオイルを綺麗に交換して再度、真空引きを行います。

3.エアパージの方法

2003年くらいまで長い間様々な冷却装置で使用されていたR22冷媒(HCFC)仕様のエアコンではエアパージ は3種類の方法で行われていました。    
 1)真空ポンプ使用方法
 2)サービス缶を使用する方法  
 3)クイックパージ法

3)のクイックパージ法は室外機のタンクに入っているガスで配管内の空気を追い出す方法なので(プシューと音がします)、エアコン移設の度にこの方法を繰り返されるとガスはどんどん無くなっていきます。
R12、R22は単一のガスなので室外機のガスで配管内の空気を押し出す方法で問題なく作業ができてしまうのでいまでは違法なのですが違法と言う認識も無く作業されていました。
2002年頃から2013年まではR410A冷媒(HFC)仕様になり、それらのエアコンでは     
 1)真空ポンプ使用 以外の方法をとると、すぐに効きが悪くなると言われています。
最近のエアコンはR410a(HFC)冷媒となっており沸点が比較的近いHFC-125とHFC-32との2種混合冷媒です。 

4.真空引きのながれ

真空引き(真空ポンプ方式)には ゲージマニホールド(システムアナライザ)と電動真空ポンプを使用しておこないます。
マニホールドの連成計針が真空状態である-0.1MPa(-750mmHg)以下になるまで約15分くらい真空引き作業を行います。
真空引き完了後、そのまましばらく真空状態が維持できれば(針が動かなければ)、各接続個所からガス漏れがおきないことも同時に確かめられたことになります。

単位について
従来mk単位(圧力ではkg/c㎡)が使われていましたが、1981年頃にSI単位系に移行して 圧力の単位はPa(パスカル)となりました。
ゲージマニホールドではkg/c㎡に対応する単位としてMPa(メガパスカル)が使用されています。
ちなみに、1kg/c㎡=0.098MPa 10.197kg/c㎡=1MPa)となります。

5.真空引きの方法

真空ポンプ使用法

前提としてポンプダウンが完了している状態での作業です。
要は室外機が単体で存在していて、室外機の中に必要十分な冷媒ガスが取り込まれている状態です。
なので、室外機側の低圧側、高圧側のバルブ(六角レンチで開閉するバルブ)はしっかり閉じられている状態のはずです。
閉じられていなければ室外機の中にあるはずのガスは存在しないことになります。
もし開いてしてしまっていた場合(緩く閉まっていてもです)いくら上手にこの後の作業をしてもエアコンは効きません。

① 室外機の低圧側(太い方)サービス・ポートの保護キャップを取り外して綺麗なところに一時保管します。
  まだ、バルブ側の保護キャップは開けなくても大丈夫。

② ゲージマニホールドと真空ポンプをチャージング・ホース(青)で室外機の低圧側サービス・ポートと接続します。
  マニホールドゲージの低圧側(LO、左側)手回しバルブを開く。チャージングバルブを利用している場合はチャージングバルブも開く側に回して開ける。
  これで、室外機を覗いたホース回路と真空ポンプが開通したことになります。

③ 真空ポンプの電源を入れてゲージの圧が-0.1MPaになるのを確認し、4mで大体15分くらいの間、真空ポンプを運転します。

④ ゲージマニホールドの低圧側(LO、左側)バルブを閉める。

⑤ 真空ポンプの電源を切ります。次に気密テストを行います。

⑥ 5分以上放置しても低圧側(LO、左側)ゲージが動かないことを確認します。(もし、動くようなことがあれば漏れの可能性があります。)

⑦ 真空ポンプとチャージングホース(黄色)を外します。

⑧ チャージング・ホース(青)を室外機の低圧側(に取り付けたチャージングバルブ)サービスポートから取り外します。
  この状態で室内機を含めた配管部分の真空状態を確保できたことになります。

この後の作業は冷媒ガスの室外機内からの解放作業=配管内への冷媒ガスの充てんという作業になります。

⑨ 室外機の高圧側バルブの保護キャップを外してバルブを六角レンチで緩めます。続いて、同様に室外機の低圧側バルブを六角レンチで緩めます。
  これで、冷媒ガスを配管内に戻しすことができたことになります。
  マニホールドゲージを低圧側サービスポート(に取り付けられたチャージングバルブ)へ接続して冷媒ガスが充てんされて圧力が上がっていく様子や
  その後放置しても最高に達した数値から下がらないことを確認する方法もあります。
  これができればほぼガス漏れは無いと考えることができると思います

サービス缶を使用する方法
① 室外機の高圧側バルブと低圧側バルブの両方とも六角レンチで閉じます。
② 室外機低圧側サービスポートへサービス缶を黄色チャージング・ホースを使って接続します。
③ サービス缶またはボンベのバルブを開きます。
④ 室外機高圧側の配管ナットを少し緩めます。
⑤ 室外機高圧側の緩めたナット部分からガスがシューと出てきたら10秒ほど(配管の長さに寄ります)経ったら室外機高圧側配管ナットを締め付けます。
⑥ サービス缶のバルブを閉めます。
⑦ サービス缶が接続されている黄色チャージング・ホースを室外機低圧側サービスポートから外します。
⑧ 室外機高圧側バルブと室外機低圧側バルブを六角レンチで開ききります(緩めます、全開にします)
⑨ 室外機各ポートのカバーナットをしっかり取り付けて締めます。

室外機のガスを使う方法
① エアコンは停止の状態で室外機高圧側バルブ、低圧側バルブも閉めた状態にします。
② 室外機の低圧側配管のナットを少し緩めます。
③ 室外機高圧側バルブを六角レンチを使用して開きます(緩めます)。
  高圧側ポートから出た冷媒ガスが高圧配管→室内機→低圧側配管を通って、低圧側配管ナットを緩めた隙間から漏れてきます。
④ 10秒ほど経過したら緩めていた室外機低圧側配管ナットを締め付けます。
⑤ 室外機高圧側バルブ、室外機低圧側バルブの両方とも全開にして完了です。


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